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メタっ娘

chapter4-5 待望のベッドシーンが……!

 コンコンコン──

 扉をノックする音が聞こえた。

 芽以子は答えない。

 コンコンコン──

 芽以子は広い寝室で、天蓋付きのベッドの上でうつぶせになっている。

 顔面を枕に押しつけていた。

 コンコンコン──

 三度目のノック。芽以子は微動だにしない。

 四度目のノックの代わりに、扉の向こうから声がした。

「……あの、芽以子さま?」

 ティアラだ。分かり切っていたことだが。

「入ってもよろしいですか?」

 芽以子は重たい体を起こす。ベッドの上に正座になると、扉に背を向ける。

 それからいった。

「わたし、見てたから」

「──え? 見たって何を──」

「キ・ス・を」

 扉の向こうから声が消える。

 芽以子は念入りにいい直した。

「わたし、見・て・た・の。ティアラとアガレットの、キ・ス・を」

「い、いやですわ芽以子さま。どうしてアガレットとのお祭りを勧めるのかと思っていたらそういうことだったんですね。もぅ、芽以子さまったら、きっと何かの勘違いをされていらっしゃるのでしょうけれども、わたくしとアガレットは、さっきもいいましたとおり姉妹みたいなものですし、そもそもキスなんて、わたくしの国では挨拶のようなものなわけで、姉妹でキスをするくらい普通の──」

「アガレットは違うから」

「え?」

「アガレットは挨拶代わりにキスした訳じゃないから。わたし知ってるもん。知ってるからデートさせたんじゃない」

 会話が途切れた。扉を挟んで、空気はピーンと張り詰める。

「で、でしたら」

 会話を再開したのはティアラだった。

「でしたら、なんで芽以子さまが怒られているのかよくわからないな〜なんて」

「怒ってないわよ!」

 いうないなや、芽以子は枕を投げつけた。ドンッと扉に命中する。

「あーそうそう。今夜は一緒に寝る約束だったわね。いいわよ入ってきて。鍵なんてかかってないから。命をかけても守りたい人から愛の告白を受けたも同然のその晩に、別のコと一緒に寝るわけだ。いいんじゃない、べ・つ・にー? それこそティアラの自由だし、ティアラはなんも悪くないわけで。どおぞお入りください?」

「………………」

 二度目の沈黙。

「……出直してきます。お休みなさい」

 それっきり、ティアラの声はしなくなった。

 しばらくして芽以子は、ぼふっとベッドに突っ伏する。

「ぜんぶ計画通りなんだから……」

 芽以子はぽつりとつぶやいた。