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性転1巻番外編:ユーリちゃんはがんばってるのよ!?

天才ユーリちゃんの発想術!

「ただの酔っ払いですね、これは」

街の魔法医院に担ぎ込まれて、回復魔法と洗浄魔法を施されているところでわたしは意識を取り戻しました。

魔法のおかげで、目眩と吐き気の不快感が徐々に軽減されていきます。ああ……これは助かりますねぇ……

「何かの持病持ちかと思えば……まったく人騒がせな!」

保健室のような小部屋には、見知らぬ男性が3人います。

そのうち2人は黒づくめなので、さっきわたしを攫った人達でしょう。わたしに回復魔法を施している白衣の男性は、耳が尖っていることからエルフのお医者さんだと思います。

「あ……あのぅ……」

意識がしっかりしてきたわたしは、徐々に現状を理解し始めました。

これはなんというか……やばひです、まぢで。

「……これからわたし……どうなるのでせう……?」

黒づくめの1人が答えました。

「これからお前は、とある場所でしばらく滞留してもらうことになる」

「そんなイヤよ!?」

それを聞き、わたしは声を張り上げます。

「どうせわたしの体が目当てなんでしょう!? この美しい顔立ちに、豊満なお胸に、それでいてくびれた腰にスラッとした長い脚をくまなく舐め回したあげく弄ぶつもりなんでしょう!?」

「人聞きの悪いことをいうな!? 我々騎士がそんな──」

「おいバカ! 身分を名乗ってどうする!!」

「人攫いが何をいったって信用できませんョ!」

「くっ……! だ、だが別に手荒なマネをしようなどとは──」

「イヤよイヤ!? そもそも男なんて虫唾が走るっていうのに、よってたかって手籠めにされるなんて──」

「だからそんなことしないっていってるだろう!?」

くっ……なんとか……なんとかしなければ!

アオイさんのことだから助けには来てくれるでしょうけれども、いまこの場で、可及的速やかにコトを運ばれては、チートのアオイさんとて間に合わないかも……ってか、アレ?

いまこの場にわたしがいたら、アオイさんはどうやって美少女に変身するのでせう?

うーんっと……できませんよね?

ということは、助けにも来られませんよね……?

………………。

………………。

………………まぢで!?

「ほんとにどうすればいいんですか!?」

「大人しくしてろよ!?」

ヤバイヤバイ、本当の本気でヤバイですョ……?

もちろんティファさんは一生懸命探してくれるでしょうけれども、でもさすがに、ハイエルフといえこの世界の法則をねじ曲げるほどの力はないし! だから救出が成功するかどうかは未知数ですし!

わたしもテレポート魔法は使えるんですが、魔力が足りなくてできないし!

え? え? え……?

わ、わたし、本当の本気でどうなっちゃうんですか……!?

「お願いです! 命と貞操と拷問と、その他諸々だけは! その辺全部ご勘弁ください!」

「だから何もしないといってるだろーが!?」

ううう……そんなこといわれたって……人を攫うような人達なんて信用できませんョ……

それもこれも、こんな物騒で野蛮な世界に出向させたエレシュ係長のせいなんですかから!

もしも、わたしの命や純潔やその他もろもろが奪われたら、労災認定どころじゃすまないんだから!!

ううう……でもでも、ほんとにそんなことになったら……イヤだよぅ……

「えーん、えーん、えーん……」

「泣くなよ!?」

あああ……こんなところでわたしの命運は尽きてしまうのでしょうか……

こんな連中に手籠めにされるくらいなら、いっそこの場で自らの命を……

そうして冥界送りになったら、エレシュ係長の枕元に立って……

………………。

………………。

………………あれ?

わたしは、ふと首をかしげてしばし沈黙しますと。

「あああああ!!」

絶叫し、その場で立ち上がります。

「なんなんだお前は!? 本当に!」

人攫い達が怒鳴りますが、そんなこと意にも介さずわたしはパチンと手を合わせました。

「そうだ! わたし、別に死ななくても冥界に戻れるんでした!!」

そうでした! そうでしたョ!

別にテレポート魔法が使えなくても、いったん冥界に戻ってからこっちの世界に来れば、この場からはいとも簡単に逃げられるのでした!

「こ、こんな裏技に気づけるなんて……わたしって、やっぱり天才ですネ……」

「お前ほんと……頭大丈夫か……?」

そうと分かれば善は急げです。

そうしてわたしは天井に向かって、冥界帰還のための声紋認証用宣言文を唱えます。

「こちら冥界閻魔府第三総括審議室、E7898の閻魔係ユーリです! 冥界への帰還を申請します!」

すると、どこからともなく機械的な音声が帰ってきました。

『声紋照合──識別完了──E7898閻魔係ユーリト認定。コレヨリ冥界ヘノ門ヲ開キマス』

そうしてわたしの体は目映い光に包まれました。

「な、なんだ!? 何が起こっている!?」

「へへーん。残念でした人攫いさん。この天才であるわたしを捕らえようだなんて、100億万年早いんですよ〜だ」

わたしは「あっかんべ〜」と言い残すと、人攫いの魔の手から華麗に逃げ出したのでした。

アオイさんの手を借りることもなく、ネ!

 

(もうちょいつづくよ?)

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